2024年度の授業

2024年度 倫理学研究室の授業内容

時間割

通年

  • 火4「倫理学(演習)」児玉聡
  • 金3「倫理学(演習)」児玉聡

前期

  • 月4「倫理学(演習)」
  • 火2「倫理学(特殊講義)」児玉聡
  • 水4「倫理学(演習)」佐藤義之
  • 木3「倫理学(演習)」林和雄
  • 金2「系共通科目(倫理学)」児玉聡
  • 金5「倫理学(演習)」永守伸年
  • 前期集中「倫理学(特殊講義)」杉本俊介

後期

  • 火2「倫理学(特殊講義)」児玉聡
  • 水3「倫理学(特殊講義)」児玉聡
  • 水4「倫理学(演習)」佐藤義之
  • 木2「倫理学(特殊講義)」Michael Campbell
  • 木3「倫理学(演習)」三上航志
  • 金2「系共通科目(倫理学)」児玉聡
  • 金5「倫理学(演習)」永守伸年

講義(系共通科目)

系共通科目(倫理学)

児玉聡(文学研究科)
通年金曜2限。対象:学部学生
本講義の目的は、現代社会における倫理的問題について哲学的に考える仕方を受講者に身につけてもらうことである。本講義では、哲学的に考えるために重要な概念や理論をある程度は紹介しているが、それは知識を身につけるためではなく、倫理的な問題を哲学的に考える仕方を学ぶためである。本講義は『実践・倫理学』を主たるテキストとして、死刑や安楽死といった問題を取り上げて、講義とディスカッションを行う。

特殊講義

幸福に関する快楽主義の現在

江口聡(京都女子大学現代社会学部)
前期月曜4限。対象:学部学生・大学院生
本授業は、幸福・ウェルビーイングをめぐる哲学的・倫理学的論争の概略を理解し、同時に英語専門文献を精読する訓練の場を提供することを目的とする。テキストとして、近年快楽説を擁護しているダニエル・ヘイブロンの『ハピネス』をとりあげ、日本語訳出の訓練もおこなう。

加藤尚武の人と思想

児玉聡(文学研究科)
前期火曜2限。対象:学部学生・大学院生
本講義の目的は、伝記の哲学的な重要性に着目しつつ、加藤尚武を例に取り、彼の思想を読み解くことである。本講義を通じて、現代日本の哲学・倫理学に対する一つの視座が得られるだろう。

東京大学の哲学・倫理学

児玉聡(文学研究科)
後期火曜2限。対象:学部学生・大学院生
本講義の目的は、主に戦後の東京大学の哲学・倫理学について、哲学者の人物像や人間関係に焦点を当てながら読み解くことである。本講義を通じて、現代日本の哲学・倫理学に関する一つの視座が得られるだろう。

An Introduction to Bioethics

児玉聡(文学研究科)
後期水曜3限。対象:学部学生・大学院生
Is it okay to take pills to help you ace exams? Should you be able to choose the sex of your child? Is abortion murder?
These controversial questions will be explored in this bioethics course. Bioethics is an interdisciplinary field of study that looks into ethical, legal, and social implications of life sciences and health care.
This course will help you understand key ethical issues surrounding crucial problems that profoundly impact your life from birth to death.
Topics include:
Reproductive technology such as surrogacy and sex-selection of the baby Abortion
Informed consent
Euthanasia
The use of medical technology for the purpose of enhancement
You will also learn about ethical arguments and regulations in Japan and other countries concerning life sciences and healthcare. The hope is, through this course, you will better understand and formulate your own opinions on these important issues.
This course is based on the idea of flip teaching: you need to watch the lecture video before attending the class and have a discussion with other students.

Transformative Experience

Michael Campbell(文学研究科)
後期木曜2限。対象:学部学生・大学院生
Significant life events often have a transformative character, being such that a person emerges from them changed in far-reaching ways. Religious conversion, becoming a parent, losing a loved one, suffering violence, being culturally displaced: these and similar experiences may deeply alter the fabric of an individual’s way of being in the world. Such events pose a challenge to individualist models of deliberation and self-understanding. After all, how can we have confidence in our decision making capabilities if we cannot be certain that our values will persist into the future? At the same time, the ease with which we identify transformative experiences shows the power of culturally ingrained narratives of transformation, as well as their importance for our sense of the potentialities inherent in human life. We go through life expecting to be changed – sometimes avoiding it, sometimes actively seeking it out. What are the cultural and institutional contexts which make this possible, and what happens when social conditions threaten the cogency of these narratives?

In this course we will approach these issues through a range of texts blending philosophy and anthropology. Classes will include both lectures and small group discussion. We will look at a range of different existentially salient moments which people may go through, and consider the ethical challenges that they pose, utilizing a variety of theoretical lenses to show the complexities of the issues. Students will develop the ability to think critically about difficult topics, to view issues from multiple perspectives, and to approach ethical problems with an awareness of the range and complexity of human experience.

なぜ道徳的であるべきか(Why be moral?)

杉本俊介(慶應義塾大学商学部)
前期集中。対象:学部学生・大学院生
この授業では、倫理学のなかの代表的な問題のひとつ、Why be moral?(なぜ道徳的であるべきか)問題を学びます。私たちにとって倫理や道徳とはどのような存在でしょうか。そうあるべきものだと思っている人が多いと思います(もちろん、そうでない人もいると思います)。しかし、本当に私たちは道徳的であるべきなのでしょうか。倫理・道徳の大前提に懐疑を向け、その本性を明らかにしていこうと思います。

そこで、杉本俊介『なぜ道徳的であるべきか─Why be moral?問題の再検討』(勁草書房、2021年)を手がかりとして、みなさんとこの問題を考えていきます。

ただし、この本の内容を学ぶ授業ではありません。そこで展開されている議論をメタ倫理学と規範倫理学から検討し直すことを目指します。

演習

倫理学の諸問題

児玉聡(文学研究科)
通年火曜4限。対象:学部学生・大学院生
倫理学に関するプレゼンテーション、および論文執筆のためのトレーニングを行う。

出席者が自分の研究内容について報告し、討論を行う。報告者は、発表の一週間前にレジュメを提出し、当日は発表スライドを用いて報告すること。他専修の参加も歓迎するが、倫理学専修の大学院生は必修。なお、報告者は必ず報告の一週間前に完全原稿を配布すること。

メルロ=ポンティを読む

佐藤義之(人間・環境学研究科)
通年水曜4限。対象:学部学生・大学院生
フランスの現象学者メルロ=ポンティは、もっぱら知覚論や身体論において、主体の事実的なあり方、主体によって生きられた世界の姿について、斬新な見解を示した。

前期授業ではメルロ=ポンティのラジオ講演より知覚論に関する箇所を抜粋して仏語原語で読むことにする。後期では現在もなお哲学の興味深いテーマのひとつである他者論に関する箇所を中心に、その他の興味深いテーマも抜粋して読む。ラジオ講演という性格上、メルロ=ポンティの著作のなかでは比較的平易なテキストである

デカルト『情念論』の研究

三上航志(非常勤講師)
前期木曜3限。対象:学部学生・大学院生
本授業では、R. デカルトの『情念論』(1649)を取り上げ精読することで、そこで扱われている哲学的問題を分析しつつ、哲学・哲学史研究に必要なスキルを獲得することを目的としている。『情念論』は、一般に、近代的な哲学的感情論を切り開いた著作として評価されるが、その思想史的位置づけや現代的評価にも目を配ることで、過度にテクニカルな議論に陥ることなく、大局的なテクスト理解を目指す。また、今年度はとりわけ、デカルトの「愛の情念」をめぐる規定と効用に関して焦点をあて、関連テクストを読解・解釈していく。

応用倫理学演習

児玉聡(文学研究科)
通年金曜3限。対象:学部学生・大学院生
応用倫理学に関するプレゼンテーション、および論文執筆のためのトレーニングを行う。

生命倫理・環境倫理・情報倫理・ビジネス倫理・工学倫理など、広く応用倫理学に関する諸問題を検討する。若干の予備的講義の後、毎週出席者による発表と討論を行う。報告者は、発表の一週間前にレジュメを提出し、当日は発表スライドを用いて報告すること。他学部、倫理学専修以外の出席者も歓迎する。

カント『判断力批判』の研究

永守伸年(京都市立芸術大学美術学部)
通年金曜5限。対象:学部学生・大学院生
カントの『判断力批判』(“Kritik der Urteilskraft”)のドイツ語テキストを精読する。昨年度までは「序論」を講読してきたが、本年度はいよいよ本文に歩みを進め、「美の分析論」の第1節から読み進めていく。カントの批判哲学全体の構想を射程におさめつつ、『判断力批判』を美学と倫理学の両面から考察することが本授業の目的である。