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2009年度 倫理学研究室の授業内容

時間割

  内容 教官 教室
火曜3限目 会話の倫理学 水谷 雅彦 10演
火曜4限目 倫理学の諸問題 水谷 雅彦 2講
木曜4限目 ベルクソン哲学の研究 本田 裕志 9講
金曜3限目 レヴィナスを読む 佐藤 義之 吉田南1号館共204
金曜3限目 倫理学概論 水谷 雅彦 3講
金曜4限目 応用倫理学演習 水谷 雅彦 8講
金曜5限目 J. Locke: An Essay concerning Human Understanding 佐々木 拓 9演
集中講義 「功利主義vs直観主義」論争 児玉 聡 未定

シラバスの本田先生の特殊講義の時間と教室に誤りがありました。正しくはこのホームページの通りです。


講義

倫理学概論(2回生履修可能)
教授 水谷 雅彦
金曜3限。3講(文学部校舎)
前半においては、現代の倫理学の基本的な理論を概説するとともに、行為とはなにかについて論じる。後期においてはいわゆる応用倫理学の各部門について概説するとともに、いくつかの事例について検討する。

特殊講義

会話の倫理学(大学院・学部共通)
教授 水谷 雅彦
火曜3限。10演(総合研究2号館)
会話や社交といった概念に基づいた倫理学の可能性について考察する。まず、D. ヒュームとA. スミスの倫理思想について、それらが義務論や功利主義といった標準的とされる倫理思想とどこが異なるのかを検討する。ついで、彼らの現代における後継者としてのM. オークショットの議論にふれた後、会話の倫理学が直面するであろう諸問題を、会話分析やエスノメソドロジーなどにおける議論を援用しつつ考えてみたい。

ベルクソン哲学の研究(大学院・学部共通)
講師 本田 裕志
木曜4限。9講(総合研究2号館)
第一主著『意識の直接与件に関する試論』から第二主著『物質と記憶』にかけての時期のベルクソンの哲学思想を、時間(持続)と空間(延長)、および精神(意識)と物質の関係を軸として考察し、実在界全体に関するベルクソン的構図の解明を試みる。原点からの抜粋資料(仏文原書と英訳ないし邦訳を併用)を用いた講義形式を基本としつつ、受講者による要旨報告などの演習的手法を一部取り入れて進めたい。

「功利主義vs直観主義」論争(大学院・学部共通)
講師 児玉 聡
集中講義。教室は未定
本講義では、「功利主義vs直観主義」という対立軸を中心に据え、ベンタム以前から現代にいたるまでの二つの倫理理論の論争を俯瞰的に再検討し、論点整理を行ったうえで今後の展望を示すことを目的とする。
(1)20世紀以前の功利主義と直観主義の展開と論争
ベンタム、ミル、シジウィックらの功利主義者と、その論敵を対象として、功利主義と直観主義の対立の図式化と論点整理を行う。
(2)20世紀前半の功利主義と直観主義の展開と論争
プリチャード、ロスなどによる直観主義理論の論点と功利主義批判の論点をまとめる。同時に、アームソン以降の行為功利主義と規則功利主義の発展において、どのように直観主義が影響しているか、また直観主義に対するどのような批判があるか考察する。
(3)20世紀後半の功利主義と直観主義の展開と論争
ロールズの『正義論』における反照的均衡をめぐる論争を中心に、直観に関する議論を整理する。とくにヘアやシンガーといった功利主義による批判の妥当性を検討する。

演習

レヴィナスを読む(大学院・学部共通)
教授 佐藤 義之
金曜3限。吉田南1号館共204
レヴィナスは倫理について極限的な思考を展開するとともに、そこから哲学の根源的変革を企てた思想家である。レヴィナスの著作を仏語原文で読み、彼の思想を理解したい。
今年度はレヴィナスの最初の主著(『全体性と無限』)から第二の主著(『存在するとは別の仕方で…』)への移行期の論文(「謎と現象」(Enigme et phenomene))を読み、第二の主著の思想の萌芽と、そこに至る彼の思想の転換を眺める。(テキストはプリントで配付。)

倫理学の諸問題(大学院・学部共通)
教授 水谷 雅彦
火曜4限。2講(文学部校舎)
出席者が自分の研究内容について報告し、討論を行う。報告者は、発表の一週間前にレジュメを提出すること。他専修の参加も歓迎するが、倫理学専修の大学院生は必修。

応用倫理学演習(大学院・学部共通)
教授 水谷 雅彦
金曜4限。8講(総合研究2号館)
生命倫理・環境倫理・ビジネス倫理・工学倫理などの応用倫理学に関する諸問題を検討する。若干の予備的講義の後、毎週出席者による発表と討論を行う。他学部、倫理学専修以外の出席者も歓迎する。

J. Locke:An Essay concerning Human Understanding 演習(大学院・学部共通)
講師 佐々木 拓
金曜5限。9演(総合研究2号館)
下記テキストを毎回8〜10ページずつ読み進めながら、イギリス古典経験論の祖と呼ばれるロックの観念論および経験論という方法論への理解を深める。授業担当者と受講者との間での積極的な質疑応答を期待しているが、その中でロックの倫理学・道徳論に対するこれらの方法論の重要性、また他のイギリス経験論者との対比を論じたいと考えている。
テキストはBookIIの頭から読みはじめる。受講者は事前に「読者への手紙」およびBookIの内容を(邦訳等を通じてでも)把握しておくこと。クロス・リファレンスの必要から、大学院生はできるだけ個人でテキストを用意すること。

Locke : 1689. An Essay concerning Human Understanding, ed. by P. H. Nidditch, Clarendon Press, 1979.