2003年度の倫理学教室の授業内容
講義
- 倫理学概論
- 助教授 水谷雅彦
金曜3限。新7講 (2回生履修可能)
前半においては哲学的な行為論をその基礎から概観し、倫理学が扱う対象としての行為とは何かに関する考察をおこなう。後半では、20世紀の倫理学上の主要な学説を批判的に検討することを通じて、行為と規範の関係について論じる。ここでのキーワードはコミュニケーションとなる予定。教科書は使用せず。
特殊講義
- 「寛容の思想史」
- 講師 谷本光男
木曜5限。新2演(大学院・学部共通)
「寛容」の問題は現代においてもきわめてアクチュアルな問題であるという前提のもとに、今年は「寛容」をめぐる問題を西欧の思想史の中で考える。
- 道徳的実在論の批判的考察
- 講師 安彦一恵
金曜5限。新3演 (大学院・学部共通)
昨年の続き。今年は、J. McDowell等の道徳的実在論について、1. それが依拠してもいる Wittgenstein の概念「規則に従うこと」をめぐる諸議論を整理し、2. 価値観の多元性と、これに伴う相対主義の問題へのその対応を検討し、その上で、3. 一つのテーゼとして、それが道徳のいわば価値=意味関係化的誤謬とでも呼べる誤りを犯していると診断する。
- 日本近代の「主体」の倫理思想
- 講師 中野敏男
集中講義。(大学院・学部共通)
倫理思想という観点から近代日本を考えるとき、「戦争責任」や「植民地主義」の問題を逸することはできない。そこで、その担い手となった(なるべきとされた)「主体」の思想とは何なのかを焦点にして、福沢諭吉、高村光太郎、丸山真男などを順次取り上げながら、日本近代の「啓蒙思想」の倫理を考える。
演習
- E. Lévinas
- 助教授 佐藤義之
月曜3限。総人1103 (大学院・学部共通)
今年度はレヴィナスの最初の主著(『全体性と無限』)から第二の主著(『存在するとは別の仕方で…』)への移行期の論文(Énigme et Phénomène)を読む。
- Habermas
- 助教授 水谷雅彦
火曜3限。新3演(大学院・学部共通)
Jürgen Habermas, Moralbewußtsein und kommunikatives Handelnsのなかからいくつかの論文を選んで読む。原典での講読が基本であるが、事情によっては英訳を用いての参加を許可する場合もある。テクストはSTW版を使用する。
- 倫理学の諸問題
- 助教授 水谷雅彦
火曜4限。新3講(大学院・学部共通)
出席者が自分のテーマについて報告し、全員で議論する。研究室所属の大学院生全員と卒業論文執筆予定者が主たる報告者となるが、3回生、他専修の聴講、単位取得を排除するものではない。(倫理学専修4回生以上必修)
- 応用倫理学の諸問題
- 助教授 水谷雅彦
金曜4限。新7講 (大学院・学部共通)
生命倫理、環境倫理、ビジネス倫理、工学倫理といった応用倫理学の諸領域における個別問題について出席者が提題し、議論する。数回の概説的講義と模範発表の後、出席者が重要であると考えるテーマを選んで報告する。最低一回の発表は義務であるが、毎回の討論に積極的に参加することが強く要請される。
Dept. of Ethics <ethics@socio.kyoto-u.ac.jp>